抑肝散加陳皮半夏
(よくかんさんかちんぴはんげ)

特徴

神経が高ぶっていらだちやすい方向けの漢方薬「抑肝散加陳皮半夏」

漢方では、「肝」という考え方があり、文字通りの「肝臓」という意味だけでなく、精神や自律神経の機能・はたらきも含めた幅広い概念として考えています。「肝が高ぶる」とは、精神が高ぶることであり、怒りやイライラが現れます。また、「血(けつ)」が不足していると、ストレスに対する耐性が低くなってしまいます。そのため、「血」の不足で、ちょっとしたストレスでも「気」のめぐりが阻害され、イライラ、怒りっぽい、などの症状が出てしまいます。とくに、「気」のめぐりが悪く、その怒りが強い場合は、いわゆる「感情を抑えられない、物に当たる・・・」といった行動をとってしまうことがあります。
「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」は、「肝」の高ぶりを抑える作用のある「抑肝散」に「陳皮」と「半夏」を加えた処方。自律神経系の調節をしながら「血(けつ)」を補い、「気」「血(けつ)」をめぐらせる処方です。「肝」の高ぶりを抑え、「気」「血」のめぐりがよくなった結果、ストレスによる身体への影響を除き、自律神経を安定させる作用があります。さらに、胃腸のはたらきを整える作用があるため、胃腸の弱い方でも服用しやすい処方です。また、一般に「抑肝散」「抑肝散加陳皮半夏」は、母子同服、すなわち親子で飲める薬として用いられてきました。
※母子同服…夜泣きなどがある神経過敏なお子様の場合、母親も神経過敏なことも多く、それが影響しているという考え方のもと、母親にも薬を服用してもらうという考えのこと

漢方セラピー「漢方薬名解説」より引用

構成生薬と薬能

釣藤鈎(チョウトウコウ) 陳皮(チンピ) 半夏(ハンゲ) 川芎(センキュウ) 当帰(トウキ) 茯苓(ブクリョウ) 甘草(カンゾウ) 柴胡(サイコ) 白朮(ビャクジュツ)

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