痔持ちで、ついつい排便を我慢してしまいます…

不快な「便秘」を漢方で解消し、日々スムーズなお通じを

男性よりも女性に多いとされる便秘は、お腹が張る、肌あれ・吹き出物など、さまざまな不快感を伴います。便秘やそれに伴う不快な症状には、漢方薬をお勧めします。

Q痔持ちで、ついつい排便を我慢してしまいます。また、便秘が続いており、下剤を飲むとお腹をこわしてしまいます

私の父は痔持ちで、ついつい排便を我慢してしまうとか。何だか気の毒です。また受験生の妹は、ストレスからか便秘が続いているようですが、下剤を飲むとお腹をこわしてしまうといっています。ふたりのような症状に効果的なお薬はありますか?

A“痔持ち型”には『乙字湯』、“デリケート型”には『十薬』

便秘傾向の人は、痛みや出血などを伴う肛門障害(痔)になりやすいといわれています。またお父様のように痔の方は、排便がスムーズに行われないため、トイレに行くのを我慢しがちで、お腹にとっては悪循環です。このような症状には、比較的マイルドな排便作用によって体に無理なく便通を整える 乙字湯(おつじとう) が適しています。

妹さんのように、刺激の強い下剤を飲むとお腹をこわしてしまう、数日間お通じがなくとも便秘をしている自覚がない、便秘薬を服用する回数が次第に増えてしまう、といった便秘は“デリケート型”。虚弱な方やデリケートな女性を中心によく見られる症状です。このような便秘には穏やかな排便作用がある 十薬(じゅうやく) を。民間薬としても知られる ドクダミ を成分とした漢方薬で、胃腸に負担をかけずに便通を整えますから、便秘薬でお腹が痛くなる方には最適です。

いずれの便秘についても、規則正しい食生活や毎朝のトイレ習慣など、日常の心掛けが大切です。

漢方メモ

便は健康のバロメーター

人間にとって便は健康状態を知る大切なバロメーターです。便は食べ物のカスだけでなく、腸内細菌や消化液の残骸などさまざまなものが含まれています。こうしたものを体内に放置しておくと、新陳代謝が進まず、お腹の張りや肌トラブル、肩こり、腰痛など、多様な症状が起こるようになります。特に女性にとって吹き出物や、肌のハリが失われる原因になるなど、美容上の大敵ともいえます。
漢方では、便秘は体の中に“ひずみ”が起こることによって発生すると捉えており、そのため便を出すだけでなく、体のバランスを調整することが治療の基本です。

“食欲旺盛型”と“痔持ち型”は「実」の便秘といわれ、胃腸が熱を持つことで水分代謝が促進され、便が硬くなる便秘です。胃腸の熱を取りながら便を出す治療が行われます。“デリケート型”は体の機能が低下して起こる「虚」の便秘で、体質を改善する治療が行われます。