緊張すると胃につかえを感じたり、食欲が衰えて疲れやすく…

漢方薬で「胃腸」すっきり健やかに

水分の摂りすぎや暑さによるストレスなどで、胃腸の調子が優れず、夏場は体調を崩す人が多くなります。暑さの影響を受けやすい胃腸を健やかに整え、快適に過ごしましょう。

Q緊張すると胃につかえを感じたり、食欲が衰えて疲れやすくなります

私の友人の中には、緊張すると胃につかえを感じるといった症状や、夏場になるといっそう食欲が衰えて、疲れやすくなると訴える人がいます。このような症状に効く漢方薬はありますか。

A“ストレス”や“虚弱”も胃腸のトラブルの原因に

緊張などによる胃腸のトラブルは、“ストレス”タイプです。これは炎症性の胃腸症状で、特にストレスが胃腸に大きな影響を与えます。精神的なストレスばかりでなく、夏は暑さというストレスも加わります。強いストレスを受けたりする精神不安があったりと、胃やみぞおちの周辺が緊張して硬くなり、つかえや吐き気を感じます。そうなると胸がやける、げっぷが出る、みぞおちが熱く感じる、といった炎症性の胃腸症状を起こしやすくなるのです。こうした症状には「神経症」の効能もある漢方薬 半夏瀉心湯 が適しています。

また、普段から胃腸が弱く、夏場になるといっそう食欲が衰え、疲れやすくなるといった症状は“虚弱”タイプ。食べすぎたわけではないのに、胃が弱く吸収する力がないので、常に軟便・下痢気味です。こうした症状には 六君子湯(りっくんしとう) がお勧めです。この漢方薬には消化機能を促進して、胃腸の働きを立て直す働きがあります。

漢方メモ

胃腸は健康の要

ストレス、疲れ、飲みすぎ、食べすぎなど、さまざまな原因でトラブルに見舞われる胃腸。健やかに保つことを心掛けて日々の生活を送ることが大切ですが、不調を感じたら漢方薬によって早期に症状を改善することが、健康への近道です。

すでにお話ししたように、夏の胃腸のトラブルは主に“水害・冷害”“ストレス”“虚弱”の3タイプ。特に夏場に多い“水害・冷害”タイプの症状に用いられる 胃苓湯 は、消化不良を整え、健胃の働きがある 平胃散 に、水分代謝をよくする 五苓散(ごれいさん) を加えた漢方を代表する胃腸薬です。

また最近ではエアコンの普及で寝冷え(冷え腹)を起こす人が増えており、冷え腹から起こるのが“お腹にくる風邪”です。普通の風邪とは異なり、吐き気や下痢などを伴うこともある胃腸型の風邪には、体内の湿気を取り、下痢の症状を改善する働きを持つ『胃苓湯』と風邪薬とを併用すると、治療効果が高まります。