太り気味ですが、お腹が張って不快感があります…

不快な「便秘」を漢方で解消し、日々スムーズなお通じを

男性よりも女性に多いとされる便秘は、お腹が張る、肌あれ・吹き出物など、さまざまな不快感を伴います。便秘やそれに伴う不快な症状には、漢方薬をお勧めします。

Q食べすぎのせいか、太り気味です。お腹が張って不快感があります

食欲の秋とばかりに、近頃食べすぎの傾向にあり、ちょっと太り気味です。お腹が張って不快感があり、朝の排便がスムーズにできずに困っています。そのためか肌の調子も悪くて、吹き出物にも悩まされており、鏡を見るのが憂鬱です。便秘を解消し、ポッコリお腹をすっきりさせる漢方薬があったら教えてください。
また母は、体は冷えているのに顔がのぼせると、いつも嘆いています。私たちを悩ませる冷えに効果的な漢方薬があったら、ぜひ教えてください。

A“食欲旺盛型”の便秘は『防風通聖散』ですっきり

便が出ない、出にくいことをひと口に便秘といっていますが、便秘とは大腸内の便の通りが通常時に比べて遅くなり、排便の回数や量が減ったり、便が硬くなったりすることを指します。排便や便通の習慣は個人差があるものですが、一般には24時間から48時間の間、排便が規則的に行われていれば正常と考えられます。3~4日以上便通がない場合や、便意をもよおしてもスムーズに排便できない時を便秘と考えてよいでしょう。

さて、ご質問のような症状を伴う便秘は“食欲旺盛型”の便秘。3~4日、便秘が続くとお腹が張って苦しくなったり、肌あれ、吹き出物が出やすくなったりするのがこの便秘の特徴です。このような便秘の原因として考えられるのは、食べすぎプラス運動不足による肥満です。特にお腹の周りや腸管に脂肪がつくと、それが直接、腸を圧迫するために働きが悪くなり、便秘になりやすくなると考えられます。

“食欲旺盛型”の便秘は、その原因となっている皮下脂肪を取り除く必要があります。防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) は腹部の脂肪を取りながら、排便を促す作用がある薬です。また便秘を改善するだけでなく、基礎代謝も向上させますから、肥満を改善しダイエットにもつながる漢方薬といえるでしょう。

漢方メモ

便は健康のバロメーター

人間にとって便は健康状態を知る大切なバロメーターです。便は食べ物のカスだけでなく、腸内細菌や消化液の残骸などさまざまなものが含まれています。こうしたものを体内に放置しておくと、新陳代謝が進まず、お腹の張りや肌トラブル、肩こり、腰痛など、多様な症状が起こるようになります。特に女性にとって吹き出物や、肌のハリが失われる原因になるなど、美容上の大敵ともいえます。
漢方では、便秘は体の中に“ひずみ”が起こることによって発生すると捉えており、そのため便を出すだけでなく、体のバランスを調整することが治療の基本です。

“食欲旺盛型”と“痔持ち型”は「実」の便秘といわれ、胃腸が熱を持つことで水分代謝が促進され、便が硬くなる便秘です。胃腸の熱を取りながら便を出す治療が行われます。“デリケート型”は体の機能が低下して起こる「虚」の便秘で、体質を改善する治療が行われます。