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不眠・不安によい漢方薬Q&A
不眠、不安…「心の病」を和らげる漢方療法
“五月病”という言葉をよく耳にしますが、これは環境に馴染めない、人間関係がうまくいかないなど、新入生や新入社員にしばしば現れる神経症的な症状です。漢方処方で「心の病」を乗り切りましょう。 |
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Q:最近些細なことが気になって食欲もなく熟睡できません
この春、憧れの会社に就職して社会人としての生活をスタートさせましたが、最近些細なことが気になって食欲もなく、熟睡することができません。何か良いお薬はありますか? |
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A:“クヨクヨ型”“イライラ型”“ドキドキ型”「心の病」は症状に適した漢方薬を 新入生や新社会人が一斉に巣立つ季節の春。ところが、入学や入社からひと月ほど経った5月頃になると元気がなくなり、出社拒否や抑うつ状態に陥り、精神が不安定になる人がいます。こうした症状を“五月病”と呼んでいます。症状は頭痛、めまい、動悸、朝起きられない、疲れやすい、食欲不振などの身体症状に加え、イライラする、気分が落ち込む、夜眠れない、気力が低下するなど、さまざまです。
このような症状は新人特有のものとは限らず、転勤や転居など環境の変化を契機にして、誰にでも起こります。五月病は正式な病名ではなく、一般的には自律神経失調症のひとつと考えられています。
さて、お悩みの症状は“クヨクヨ型”に属する症状です。胃腸が弱く疲れやすい、些細なことで傷つきやすい、夢をよく見るなどの症状が特徴です。気が弱く、クヨクヨ考え込んでしまうタイプに起こりやすく、こうした症状には『加味帰脾湯』が適しています。 |
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Q:子どもの受験を控え眠れません
同期の友人たちは、近頃イライラする、緊張して動悸がする、眠れないなどと訴えています。これらもやはり五月病ですか? |
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A:“イライラ型”“ドキドキ型”には『加味逍遥散』『柴胡加竜骨牡蛎湯』 はい、五月病の一種です。“イライラ型”は、礼儀正しく仕事もテキパキとこなすのですが、自分の感情を抑制しストレスをため込んでしまうタイプで、自分の思うようにならないとイライラする、カーッとする、目が充血して顔がほてる、気が高ぶって眠れないなど、イライラ感が強く現れます。こんな時には『加味逍遥散』が適しています。
また、緊張することが多い、疲れやすく動悸がする、漠然とした不安があり夜も眠れないといった“ドキドキ型”は、五月病で最も多い症状です。
いわゆる「あがり症」が昂じると現れやすく、こうした症状には、『柴胡加竜骨牡蛎湯』がお勧めです。この薬は天然のカルシウム配合で、緊張からくる精神の興奮を鎮める作用がありますから、漢方の精神安定剤として幅広くお使いいただけます。 |
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Q:眠れないのは疲れが抜けず、本当につらいです
眠れないのは本当に辛くて、疲れがなかなか抜けません。何か眠れるお薬はありますか? |
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A:ぐっすり眠って、不眠と不安を解消! 漢方では、五月病は「心の病」と捉えています。心とは心臓だけでなく、意識や精神活動など大脳系の働きも含まれる概念です。不眠と心の働きとは密接に関係しており、何かの原因で心に栄養が行かなくなると、不眠症や不安感などの症状が起こります。疲れやすく眠りが浅い方には前出の『加味帰脾湯』、ストレスを感じやすく寝つきが悪い方の不眠、不安には『柴胡加竜骨牡蛎湯』が適しています。 |
*デリケートな病気に適した漢方*
快食、快眠、快便という言葉があるように、夜ぐっすり眠れることは健康の基本です。しかし、寝つきが悪く眠れない、途中で何度も目が覚める、早く目が覚めてその後眠れなくなる、といった不眠症に悩まされる人が最近は増えているといわれています。こうした不眠を起こす原因には、外部環境の変化や睡眠時の状況、病気などの身体的原因、薬物による原因や中毒、年齢的な原因などがあげられます。
不眠の原因がはっきりしている時は、それに応じた対策がとられますが、大部分の不眠症は不安感や神経症などに起因するもので、治療は意外に厄介です。こうした「心」の領域に適しているのが漢方薬です。
不眠の漢方治療の特長はぐっすり眠れること。そして最終的には、薬に頼らなくても眠れることを目指します。
漢方薬で疲れやストレスによる不眠、不安を解消し、心身ともに健康で快適な生活を送りましょう。 |
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