第七十三回 工藤内科 工藤 孝文先生
ナビゲーター:奈美寒い日が続いておりますが、皆さんお元気ですか!? 今回は福岡県みやま市にあります「工藤内科」に来ています。 工藤先生にインタビュー奈美: 本日はお忙しい中、漢方ナビにご登場いただき、ありがとうございます。白を基調とした開放感のあるクリニックですね。先生は主にどのような患者さんを診ていらっしゃるのですか? 先生: 「糖尿病」、「漢方」、「減量」を三つの柱として診療していますが、生活習慣病全般も診ています。「糖尿病」は男性の患者さんの方が少々多いですが、「漢方」「減量」は女性が多いので、全体的には女性の割合が多いですね。西洋医学では診断のつかないような症状でも漢方を使って診ることが出来るので、力を入れています。 奈美: 女性にとって「漢方」や「減量」は特に関心が高い分野ですよね。私も興味はあるのですが、仕事でなかなか定期的に通院するのが難しくて… 先生: 診療時間内の通院が難しい患者さんや遠方の患者さん向けに、2017年からオンライン診療(遠隔診療)を導入しております。診療時間外の夜のお時間でも診られるので、お仕事などでお忙しい方でもお気軽にご相談ください。 奈美: 夜でも診ていただけるのは本当に助かります!!先生が日々の診療で心がけていることはなんでしょうか? 先生: 一日に多くの患者さんを診ますが、常に笑顔でベストを尽くすことですね。脈診、体温、舌診を丁寧に行なって、ひたすら診療に没頭しています。 奈美: 先生の笑顔に安心して診療が受けられそうです!漢方の優れている点について、西洋薬との違いなども含めて教えてください。 先生: 西洋薬は、一つひとつの疾患に対して用いられますが、漢方薬は、病院を受診して検査をしても、「異常なし」という結果が出てしまうような診断がつかない不調に対しても、患者さん一人ひとりの体質に焦点をあてて、症状にあわせた処方が出来ます。西洋医学は病気を治す、東洋医学は人を治す、といいますが、患者さんの背景もみながら全人的な治療を行なうので、そこが非常に楽しく、やりがいがあります。 奈美: 原因不明の不調…私も経験があります。一人ひとりの体質や症状に合わせて処方していただけるのは本当にありがたいです。2018年に先生がご出版された「医師が認めた最強の漢方薬 人参養栄湯」がAmazon東洋医学部門で第1位になるなど、ベストセラーになっていると伺いました。「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」の効能はどのようなものになるのでしょうか? 先生:
奈美: 「人参養栄湯」は幅広い効能が見込めるのですね!ストレスがたまるとついつい食べ過ぎてしまう方の強い味方だと思います。漢方ナビの取材をしていると、漢方の効果に驚かされることも多いのですが、先生が漢方外来を始められたきっかけはなんだったのですか? 先生: きっかけは、症状があって苦しんでいる患者さんがいるのに、医師として治せないのはまずい、何とかしなくては、という気持ちですね。西洋医学と東洋医学、西洋薬と漢方、どちらも扱えば、治療や処方の守備範囲が非常に広がります。医師としてより多くの患者さんを治療するために、漢方の勉強をしております。 奈美: 漢方の効果を実感した印象的なエピソードはありますか? 先生: 40代女性で、突然身体に力が入らなくなって、歩くことや動くことが困難になった患者さんがいました。症状があるのにも関わらず、一通りの検査をしても異常なし。原因不明で病名がつかず困っていらしたのですが、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を処方すると、徐々に動けるようになり、初診は車椅子で来院していたのが、ご自身で歩けるようになりました。 奈美: 絶大な効果ですね!患者さん自身も驚かれたのではないでしょうか? 先生: そうですね。大変信頼してくださって、今ではその方のご家族全員を診ています。それぞれ症状が違うので、それぞれに合った処方をしていますが、やはり信頼してくださるからよく効く、という感じも受けますね。 奈美: 家族全員を診られているのですか!患者さんが先生に厚い信頼を寄せているのが伺えますね。さて、患者さんのために日々大忙しな先生ですが、ご自身の健康法やストレス解消法などはありますか? 先生: ストレス解消法は、元々はゴルフだったのですが、最近は読書をしている時が楽しいですね。1週間に10冊くらいは読んでいます。取材などを受ける機会もあるので読書をして知識を増やすことを心がけているのと、知識が増えれば幅広く診ることにも繋がるので、患者さんのためになれるかなと思っています。 奈美: 1週間に10冊も読まれているのですね!私も漢方の知識を増やすために先生を見習いたいと思います。先生の好きな食べ物や、食事で気をつけている点はありますか? 先生: 好きな食べ物はチョコレート!あとは、ステーキですね!茶色いもの全部好きです! 奈美: 茶色いものという表現に笑ってしまいました!最後に、先生がこれから目指されます医療についてお聞かせ下さい。 先生: 東洋医学をしっかり勉強して、穴がないような、困っている人を全て治せるような医者になりたいですね。「統合医療」という言葉もありますが、西洋と東洋の医学をミックスさせて、エビデンス(科学的根拠に基づく治療)とエクスペリエンス(経験)の部分で治療出来れば理想だなと思っています。ツールなども上手く使って、なるべくAI化も進めたいですね。患者さんの負担を減らしてシンプルでスピーディーな医療にしていきたいです。 奈美: 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。先生の今後益々のご活躍に期待しています! 東洋医学と漢方薬のパワーを改めて感じた取材でした! ■今回の取材先工藤内科
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